こんにちは、欅並子です。
昔々のお話ですが、みなさんは「プラザエクウス」という施設のことを知っていますか?
プラザエクウスは、JRAが東京・渋谷と大阪・梅田でそれぞれ運営していた、競馬情報発信のための施設です。
西洋の街並みを思わせるような内装の館内に、競馬関係の資料や実物大の名馬の模型が展示されていたり、大型モニターがあるホールなんかもあって、そこで時々イベントを開催したりしていました。
たしか、ターフィーショップ的なグッズの販売もしてたような記憶があります。
確認してみたところ、プラザエクウスは梅田・渋谷ともに1992年にオープンし、その後、梅田は2002年に、渋谷は2008年に閉館したとのこと。
なんと、梅田は10年、渋谷は16年というほんの短い期間しか存在しなかった施設だということです。
わたしは当時関西在住でしたので、主にプラザエクウス梅田に足繁く通っていました。
プラザエクウスには、過去の競馬のレース映像を見られるコーナーがあり、わたしは主にそのレース映像の視聴目当てで入り浸っていたのでした。
映像コーナーには6~8つぐらいのブースが設けられていました。
マホガニーのツヤのあるデスクに埋め込まれたモニターと、ちょっとアンティーク調の布張りの椅子が2脚置かれているブースは、英国の書斎風って感じの内装になっています。
備え付けの冊子の中から見たいレースを探して割り当てられた番号を調べ、モニターの横にあるボタンでその番号を入力すると、すぐにそのレースの映像がモニターから流れる、という仕組みになっていました。
わりと人気のあるコーナーで、「混雑時にはおひとりさま5レース以内でお願いします」なんて注意書きもありました。
古馬になってから好きになった馬のクラシック時代の映像とか、何かの本や雑誌で取り上げられた「伝説のレース」とか、後から見てみたくなるレースっていろいろあると思います。
今でこそ、YouTubeなんかで過去のレース映像がその場で手軽に再生できるようになりましたが、当時はそんなものはありませんでしたから、過去のレース映像を見たいと思ったら、プラザエクウスに直接行くしかなかったわけですね。
ちょっと記憶が曖昧ですが、レース映像は重賞競走のものしか収録されていなかったように思います。今は、条件戦とか新馬でも探せば見られる場合があるので、ほんと良い時代だなと思います。
さて。
先に紹介したとおり、プラザエクウス梅田が存在したのは1992年~2002年のたった10年ほどだったということです。
わたしが競馬を見始めたのが1995年で、関東へ転厩したのが2000年頃ですから、これはもう、ちょうどわたしが競馬に興味を持ってハマり始めた時期に寄り添うように存在した施設だということがわかります。
もしかしたら、プラザエクウスがあったからこそ、ここまで競馬好きになれたんだとも言えるかもしれません。
わたしの立場から見ればそうですが、競馬を運営している側、JRAに視点を移せば、1990年代というのは、競馬をもっと大衆化しようと、広い世代に向けて、親しみやすさ・とっつきやすさをアピールしようとしていた時期だったのではないかと思います。
競馬場自体は、当時まだまだタバコ臭くてゴミだらけであちこちから罵声が聞こえるような空間でしたが、プラザエクウスは、競馬場の雑多な雰囲気や泥臭さがまるで払拭された、テーマパーク風のキラキラした施設でした。
JRAは競馬をもっと万人に居心地の良い世界にしていこうと、言い方はちょっと悪いですが、お客さんの選別や教育をしていたのかもしれないな、と今改めて思い返してそう感じました。
その流れに乗って、当時ごく普通の(どっちかというとおとなしい)女子だった欅並子も、ものすごくスムーズに競馬場に定着させられたんだな、と、改めて気がつきました。
今や、競馬場ではタバコは限られた空間でしか吸えないし、地面にゴミが散らかっているのを目にすることも少なくなりました。パドックでジョッキーに酷いヤジを飛ばすオジサンも、もういません(1990年代には、めちゃくちゃ普通にいました)
いわゆる「普通の人」が増えた競馬場では、そんな昔の競馬場仕草はすっかり肩身の狭いものになり、どこかへ排除されてしまったのですね。
プラザエクウスは、普通の人にとって居心地の良い競馬場作りに一役買っていた、ということが言えるかもしれません。
現在は、プラザエクウスの後継的存在の「Gate J.」という施設が東京と大阪に1つずつあるようです。
※ただし大阪の方はリニューアル工事のため閉館中とのこと
東京・日比谷にある施設ですね。
パッと見た感じ、プラザエクウスよりはだいぶ簡素な施設みたいですね。
平日のお昼間だけ開館しているようです。今度時間がある時行ってみようかなと思います。
競馬は、これからどこへ向かおうとしているのかな。
プラザエクウスの思い出から、そんなことを考えさせられました。