欅並子の馬ウマ日記

競馬歴28年で、東京競馬場が主戦の競馬ライター、欅並子(けやきなみこ)がいろいろ書いてます。競馬予想、競馬文化にまつわるいろいろな出来事を、私目線でレポートします。競馬って、馬券を当てる以外にもいろいろ楽しいこと、ありますよね!(馬券も当てたいけどね)ほぼ毎日更新。

JRAのCMについて思った事

こんにちは、欅並子です。

 

JRAのCM、テレビを観ているといろんなところで案外よく流れていますね。

自分はもう広告されなくたって競馬のことを忘れたりはしないし、言われなくても競馬場に行ってしまうお客さんなので、CMのターゲットではない気もするのですが、見るといろいろ考えてしまうことがあります。

 

わたしは、今年から新しくなった「HERO IS COMING.」は実はあまり好きではなくて。

夕暮れの東京競馬場のターフビジョンの前に立って、二人の女優さんがセリフを朗読し、過去のレースの映像がフラッシュのように映し出されます。

最後に、まもなく行われる大きなレースの名前が大きく出ますが、その部分だけ差し変えているだけで、そこへ至るまでの流れは毎回使い回しのようです。

 

使い回しはまあいいとして、それよりも気になるのが、なんとなく、この二人の女優さんが競馬を好きそうには見えない点です。

別に、競馬とか興味なさそうっていうか。

なにしろ、彼女たちは「観客」という立ち位置でもないので、興味があってもなくてもどっちでも良い立場です。

 

それに加えて、使われている曲が、2016年にNHKのリオ五輪のテーマソングとして使われたもので、一度流行ったものの再利用であることもちょっと残念に思います。

歌っている安室奈美恵も引退してしまっているし、流れるレースの映像もずいぶん昔に活躍した名馬の映像ばかりだし、全体的に「過去のもの」の詰め合わせという感じがして寂しいです。

 

去年までの、若手俳優さんたちがやってた、仲良しグループで競馬を楽しむ「HOT HOLIDAYS」シリーズのCMが、わたしは結構好きでした。

そりゃ、あんな綺麗すぎる若者の集団なんて嘘くさいよって言われればそうなんですが、それはそれとして、映し出される競馬場の風景や、彼らのはしゃぐ姿からは「競馬場楽しいよ!来てね!」っていうおもてなし心がしっかり伝わってきて、競馬場に行き慣れているわたしでも、ああ、また競馬場に行きたいなって気持ちにさせられるものでした。

「HOLIDAYS」という曲も、競馬が開催される週末が待ち遠しくなるような、ウキウキするような曲でした。歌詞を見ると別に「競馬」とはひとことも言ってないですが、多分競馬のCMに使うからと発注された曲なんじゃないでしょうか。

 

なぜ、去年までのようなテイストのCMが作れなくなってしまったのか。

それはもうハッキリと「コロナのせい」なんでしょうね。

コロナのおかげで、仲間で集まって一緒に何か食べたり飲んだり、大声でしゃべったり笑ったりすることが、良しとされない世の中になってしまいました。

このシリーズの最後の年になった2021年も、縁側を開け放った換気の良さそうな茶の間でテレビ観戦している仲間たちの姿ばかりになってしまって、「ああ、この子たちも競馬場に行けなくなっちゃったんだな」と見ていて逆になんだか寂しくなる感じではありました。

 

仲間でワイワイ楽しむスタイルから、自分の中で思いを噛みしめるスタイルへ、競馬の楽しみ方も変容せざるを得なかったということなのでしょうね。

まあ、そうだとしても、せっかくならもう少し、競馬を楽しむ人の物語を感じさせるようなつくりのCMだったらよかったのですが。

JRAのCMって、大体2~3年か、長ければ5年ぐらい同じシリーズで続くものですが、今のシリーズでも、登場する女優さんたちが少しずつでも競馬を好きになっていくような様子が伝わってくるような進化があればいいなあと思います。

 

ところで、JRAのCMのキャッチコピーと言ってわたしが一番に思い出すのは、

 

「あなたがいるから、競馬は楽しい ~競馬場で会いましょう」

 

というものです。これ、結構いいと思うんですよね。

調べてみたところ、このコピーは1994~1995年に使用されていたものだそうで、わたしが競馬を見始めたのが1995年ですから、ぴったり競馬を始めた時期に当たってるんですね。

やっぱり、何事も始めたときの吸収力ってすごいんですよね。

 

今年競馬を始めた人なら、「HERO IS COMING.」が結構良かったな!って後から思うようになるものかな。

それだったらそれでいいんですけどね。