こんにちは、欅並子です。
藤岡康太騎手の訃報に触れ、とてもショックを受けています。
言葉にならない思いを抱えて今日1日過ごして来ましたが、競馬を題材にささやかなブログをやらせてもらっている身として、まとまらないながらも、思いを言葉にして残しておかなければと思い、記事を書きます。
藤岡康太騎手は、関東で競馬を見ているわたしにとっては少し馴染みのない存在でした。
だから、昨年のマイルチャンピオンシップで、藤岡康太騎手がナミュールに代打騎乗することに決まったときも、「よく知らない騎手だな」ということと、さらに大変失礼ながら、「大丈夫かなぁ」と心配してしまったことを覚えています。
彼がどういう持ち味のジョッキーなのかよく知らなかったために、「康太さんなら、あんな手やこんな手を使って、きっとなんとかしてくれる!」などとポジティブに考えられる材料が思いつかなかったんですね。
終わってみれば、藤岡康太騎手にしかできない素晴らしい騎乗だったと思いました。
あのレースは何度も見返しました。直線に向いてから難しいところをこじ開け、ナミュールの末脚を完璧に引き出して、強い馬であることを証明してくれました。
本当にもったいないことですが、藤岡康太騎手に存在をしっかりと認識したのは、あの日のあの瞬間からでした。
思えば、まだあれから半年も経っていないのです。
競馬場通いをしていると、どうしても、他場のことには少しばかり疎くなってしまうようなところがあり、相変わらず藤岡康太騎手のことは本当にはよく知らないままです。
ただ、今年に入って着実に勝利数を伸ばしている、飛躍の年になりそうだ、などと聞く度にわたしも嬉しい気持ちになったりしていました。
結局、「康太さんはこういうジョッキーだからさ」なんて、何ひとつ言えるようにもなれず、遠くからほんのり親しみを持っているぐらいの距離感のまま、二度と彼が騎乗する姿を見ることができなくなってしまいました。
今日の午前中に訃報を知ってからも、ずっと心の底で悲しい気持ちが消えることはありませんでした。
でも、みんながそうであるように、わたしにも今日1日やるべき事がたくさんあって、時には笑ったりおもしろがったりしてみせながら、元気に1日を過ごしました。
今日1日のやるべき事を終えて、一息ついたところで、藤岡康太騎手の兄・藤岡佑介騎手が発表されたコメントを見て、とうとう涙が出ました。
またナミュールに乗ってくれると思ってたのに。
本当に悲しいです。寂しいです。
これからも続いていく競馬の無事を願うこと、いろいろな思いはありますが、少し気になっていることがあるので、そのことにもちょっと触れておきたいと思います。
それは、本当に今後も「気を付ける」「無事を祈る」だけで同じように競馬を続けていっていいのかな、ということです。
何か、もう少し人馬の安全を向上できるような取り組みや、今回の事故から学んで、競馬をもっと安全に行うことができるようにする方法はないのでしょうか。
多くの方が悲しみのコメントを発表され、専門家の方も皆言葉少なに追悼の意を表しておられますが、人馬の安全に対する課題や改善策について触れる内容が見られないことが、気になっています。
競馬は命がけだ、やる者も見る者も覚悟せよ、だけでいいのでしょうか。
今はまだそのような話をする段階ではないのかもしれません。だけど、週末はすぐそこまで迫っていて、また同じようにたくさんの馬がたくさんの人を背に乗せて疾走するひとときがやってきてしまうのです。
どうか、より安全に競馬を行う方法が模索されていくことを願っています。
そして、ブログの今後についてですが、わたしも、これで競馬が嫌いになったということではもちろんありません。
これからも応援したい馬、騎手、見たい戦い、たくさんあります。
だけど、少なくとも今週末のレースに関しては、いつもと同じように楽しく軽いノリで展望記事を書く気持ちにはなれなさそうです。
(実は、中山グランドジャンプについては、昨日までのほとんど書き終わっていた記事があるのですが、公開を見送りました。)
一応「今週はお休み」という風に思ってますが、気持ちが落ち着いたらまた戻ってくる、ということにします。
多分、競馬は見ます。大好きな馬の出走予定もあるので、応援はしたいです。
最後に、藤岡康太騎手の眠りが安らかであることを祈ります。
ありがとうございました。