欅並子の馬ウマ日記

競馬歴28年で、東京競馬場が主戦の競馬ライター、欅並子(けやきなみこ)がいろいろ書いてます。競馬予想、競馬文化にまつわるいろいろな出来事を、私目線でレポートします。競馬って、馬券を当てる以外にもいろいろ楽しいこと、ありますよね!(馬券も当てたいけどね)ほぼ毎日更新。

あれから3週間。少しずつ、競馬を見られるようになってきました。

こんにちは、欅並子です。

 

わたしにとって、藤岡康太騎手が亡くなったことによる衝撃は強く、競馬を楽しめる気持ちが戻ってくるまで、思いのほか時間がかかってしまいました。

一時は、ブログもこのままやめてしまおうかなぐらいの気持ちにもなったりしましたが、「日にち薬」とはよく言ったものです。やっと、ブログの編集画面を開こうかなという気力が戻ってきました。

 

あの日からも、変わらず競馬を楽しめた人ももちろんいたでしょう。

競馬を生業とされいている人の中には、歩みを止めるわけにはいかないと歯を食いしばって競馬に向き合い続けた方も少なからずいたのではないかと思います。

藤岡康太騎手の近しい方たちからは「本人は、皆が変わらず競馬を楽しんでくれることを望んでいるはず」との言葉もありましたので、わたし自身は、このことをきっかけに競馬から距離を置いてしまうことに、少し心苦しい気持ちになったりもしました。

とはいえ、悲しい出来事があった時の受け止め方や、思いの表現の仕方、態度は人それぞれです。

わたしには少しお休みが必要でした。そして、今後も以前と同じように元通りというわけにはいかないかもしれません。

 

4月13日(土)は中山競馬場でJ・G1の中山グランドジャンプが開催されました。

藤岡康太騎手が亡くなって最初の競馬開催でした。

この日は、かねてから応援していたダイシンクローバーが出走するということで、中山競馬場に行くことは前々から決めていました。

中山競馬場へは、電車を乗り継いで1時間半ほどの道のり。

船橋あたりには土地勘がなく、もし首尾良くお花が手に入らなかったら困ると思い、家の近くのフラワーショップで花束を購入してから電車に乗りました。

ささやかな花束だけど、今まで持ち歩いた中で一番悲しいお花の、その重さが忘れられません。

中山競馬場の献花台の前には多くの人たちが列をなしており、自分の番が回ってくるまでに30分ほど並びました。

祭壇に花が積み上げられていく様子を見ながら「これは競馬の葬式だ」と思いました。

あのとき、わたしの中で一度競馬は死んだんだと思いました。

 

お花を置いた後、すぐにでも帰りたいような気持ちにもなったけれど、好き馬の無事完走だけは見届けようと、どうにかメインレースまで競馬場で過ごしました。

ダイシンクローバーは7着。最後まで無事に走って立派だと思いました。

中山グランドジャンプでは、勝った馬の騎手が、最後の直線で藤岡康太騎手の名前を叫んだ、その様子が収録されているジョッキーカメラの映像が涙を誘う、と話題になりました。天国からの後押しがあった、とも。

わたしは、それが「なんだか戦争みたい」と思えてちょっと嫌でした。こんなこと言ってごめんなさい。

(悲しみの表現も、乗り越え方も、人それぞれです。そのことを、わたしは理解しないといけないと今は思っています。)

翌日の皐月賞は、その時間家にいましたがテレビはつけませんでした。

しばらくは、ネットでも競馬のニュースにも触れずに過ごしました。

 

そうして、まあ、そんな感じで3週間が過ぎました。

ブログの更新はお休みしつつ、天皇賞(春)はテレビで観戦しましたし馬券も買いました。

今週はNHKマイルカップが開催されます。

好き馬・ナミュールの妹、アルセナールが出走するようで、いよいよ競馬場で応援しなければという気持ちになってきました。

そして来週にはナミュールがヴィクトリアマイルに出走予定です。そりゃもう、どうしたって競馬場で応援しなければいけない。

こうしてまた、競馬場に通う日が戻ってくることになりそうです。

 

ナミュールと言えば、藤岡康太騎手が昨年のマイルチャンピオンシップでナミュールに代打騎乗して鮮やかに勝利したことがあまりにも印象的でした。

わたしにとっても、あのことがなければこんな風に藤岡康太騎手のことを考えることもなかったかもしれません。

ヴィクトリアマイルにナミュールが出走する時には、セットで彼の名前が語られることでしょう。

個人的には、ナミュールの出走が「弔い合戦」のように扱われることはあまり望ましいこととは思いません。ただ、マスコミ的にそのような扱いになるのは間違いなさそうです。

わたしにはまだ、そういう演出に「感動」できる気持ちの余裕はなさそうです。

その辺りの情報とは距離を置きつつ、ナミュールのことを応援したいなと思っています。

 

当ブログの今後についてですが、最近は、誰の役に立つのかわからない予想をアップし続けていることにも少し限界を感じていたところでもあったので、様子を見ながら、たまに競馬の雑談をしに出てくる場としてしばらく続けてみたいと思います。

また元気が出てきたら、自分のために予想記事を書くようになるのかもしれません。