欅並子の馬ウマ日記

競馬歴28年で、東京競馬場が主戦の競馬ライター、欅並子(けやきなみこ)がいろいろ書いてます。競馬予想、競馬文化にまつわるいろいろな出来事を、私目線でレポートします。競馬って、馬券を当てる以外にもいろいろ楽しいこと、ありますよね!(馬券も当てたいけどね)ほぼ毎日更新。

栗東トレセンに行った思い出

※写真と記事は関係ありません

こんにちは、欅並子です。

 

昔話ばかりしておりますが、今日も20年以上昔のお話です。

わたし、応援していた馬にファンレターを送って、トレセンの厩舎にいるその馬に会わせてもらったことがあります。

そういうのって、あまり周りに言いふらしては関係者の方に迷惑になるかもと思って当時はあんまり人に言ってなかったんですけど、もう20年も経過したらさすがに大丈夫だろうし、書いちゃいます。

といっても、具体的な馬名や人の名前はやっぱり伏せますけどね。

 

わたしはその頃パドックで馬の写真をたくさん撮っていましたが、その中に、厩務員さんがめちゃくちゃいい笑顔で馬を曳いている写真がありました。

その写真は、それ自体がとてもよく撮れていたし、その馬が当時牝馬クラシック戦線を賑わせていた有力馬でもあったため、競馬雑誌「優駿」の読者コーナーに投稿したところ、見事に掲載されたりもしました。

せっかくなので、ご本人にも写真をプレゼントしたいなと思い、栗東トレセンの所属厩舎「○○(馬名)の厩務員さん」宛として、写真とその馬への応援メッセージなどを書いてお手紙を郵送してみたのですよ。

そうしたところ、丁寧なお返事が来て、よかったら栗東トレセンに遊びに来ませんか、とお誘いをいただいたのでした。

それがトレセン訪問実現の経緯です。

 

トレセンを訪ねたのは、ダービーが行われている日曜日でした。

え、日曜日、しかもダービーデーなんかに行って良いの?なんて思ったのですが、その日は自身の担当馬はレースに出走しないのでトレセンにいる、とのこと。

担当馬に出走の予定がなければ、日曜日のトレセンはわりとのんびりしているということがわかりました。

ちなみに、厩務員さんと思っていたその方は調教助手で、馬の世話だけでなく調教まで担当しているとのこと。夫婦で同じ厩舎の調教助手と厩務員をしているということで、訪ねたその日厩舎にいた人は、このお二人だけでした。

つまり、そのダービーデーこそ他の方の邪魔にならずちょうど良い厩舎訪問日和だったわけですね。

 

JRの栗東駅からタクシーでトレセンに向かいます。トレセンに到着し、中に入ると今度は迎えに来てくれていた調教助手さんの車に乗って厩舎に向かいます。

テレビで見たことのある、時計塔のある広場の横を抜けて、厩舎エリアへ。

開催日の昼下がり、厩舎のあたりはかなりひっそりとしていました。

 

厩舎の中には複数の馬の気配がありましたが、会わせてもらえたのはもちろん例の写真の馬だけです。

しばらく馬房から前の広場に出してくれて全身の写真を撮らせてくれました。

薄曇りながら少し暑い日で、美しい栗毛の馬体にうっすら汗がにじんでいるのが見えました。

あまり長く外に出すと馬に負担が掛かるということで、お披露目はほんの少しだけ。

あとは馬房に戻して、わたしたちは馬房の通路でしばしおしゃべりをしました。

 

他に応援している馬の話や、競馬の話をいろいろと。

「その馬、育成の時に乗ったことがあるよ」

なんて話も飛び出して、ひとしきり盛り上がりました。

 

「重賞を勝つような馬は、デビュー前でも乗った瞬間にわかる」

「能力があるかどうかは、もう走る前から決まってる」

 

調教助手さんから聞いた、そんな言葉が印象に残っています。

今も、新馬戦を見る時なんかにはそのことを思い出すのですが、わたしには、最初から決まっているハズのその違いが見えるようにはサッパリなれませんね。

 

その日のダービーは、馬房の通路のところでラジオで聴きました。

時期から考えて、1999年6月6日、アドマイヤベガが勝ったダービーでしょう。

応援していた馬に間近で会えたこと、トレセンに招いてもらえたことなど、舞い上がるポイントがいろいろありすぎて、そのダービーのことはほとんど記憶にありません。

 

それからほどなくしてわたしは関西を離れることになり、ライフステージの変化によって、競馬も当時ほどは熱心に見られなくなってしまいました。

なにぶんSNSなどなかった時代で、連絡手段は手紙か電話だけという状態だったので、その調教助手さんともすぐにご縁が切れてしまいました。

今みたいな時代だったら、もう少しゆるくつながっていられたかもしれないのになあと残念に思います。

お邪魔した厩舎は調教師の引退によって解散しましたが、調べてみたところ、調教助手さんは別の厩舎に移られて今も活躍中のようです。

 

コロナ禍が始まるまでは、公式で「GⅠ調教見学ツアー」「トレセン見学ツアー」などが開催されていたので、トレセンに行ったことがあるという人はたくさんいると思います。

でも、こんな形でふわっとトレセンを訪ねたことがある人は少ないかも知れません。

なんともとりとめもない話であまり広がりもありませんが。

 

まあ、こんなことがあったよー、という昔のお話でした。